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マイナンバー特集

マイナンバーの利用・管理


 10月から始まるマイナンバー制度では従業員などから集めた「マイナンバー」を安全に管理することが全ての企業に義務付けられています。東京商工リサーチが7月におこなった「マイナンバー」に関するアンケートでは、回答企業の65.9%が「メリットはない」と回答しました。また、情報漏洩(ろうえい)を懸念する声も50%を超え、来年1月の利用開始を前に不信感が強いことが浮き彫りになっています。

使用のトップは「雇用保険」と「源泉関係」


 「マイナンバー」使用のトップは雇用保険と源泉関係になります。来年1月以降、入社・退社がある場合には、雇用保険の取得、喪失の届けに「マイナンバー」を記載しないといけません。雇用保険関係では取得喪失以外に高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付、特定求職者雇用開発助成金などにも来年1月以降「マイナンバー」が必要です。
 また、源泉関係の事務では平成28年1月以降年の途中で退職者がいる場合は、退職にともなう源泉徴収票を発行するため、それに「マイナンバー」を記載する必要があります。在職者については、従業員本人だけでなく、配偶者、子どもなど扶養家族のマイナンバーを「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載する必要があります。会社側は、来年1月以降、「マイナンバー」を記載した「扶養控除等申告書」の提出を受ける必要があります。また従業以外にも提出する必要のある「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」「不動産使用料の支払調書」にも「マイナンバー」の記載が必要です。ただし、「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」や「特定口座年間取引報告書」等については、3年間の猶予規定が設けられています。
 「マイナンバー」の使用については、「雇用保険」「源泉事務」「健康保険」「年金」等あらかじめ予想される複数の事務について、使用目的やその範囲などを本人へ文章等で通知する方が良いでしょう。

会社に課せられる「安全管理措置」


 「マイナンバー」法では「マイナンバー」を使用する事務の範囲、「マイナンバー」が含まれる特定個人情報ファイルを作成する範囲、「マイナンバー」など特定個人情報を収集・保管・提供できる範囲等を制限しています。「安全管理措置」とは、そうした制限の もとで企業が「マイナンバー」とそれに結びつけられた特定個人情報の漏洩、滅失又は毀損の防止等のために設定された義務的措置のことです。

 安全管理措置は次の4つに分類されます

組織的安全管理措置

 「マイナンバー」を取り扱うための組織的な体制、取扱規程の作成、運用、チェックなどの措置です。「マイナンバー」関連事務の明確化や取扱担当者、責任者を明確にします。政府のガイドラインでは取扱規程の策定を推奨しています。

人的安全管理措置

 事務取扱担当者の監督や教育など、「マイナンバー」取扱いのための人的な安全管理措置です。担当者への法令内容、「情報の安全管理」に関する教育や業務トレーニングなどが必要です。

物理的安全管理措置

 「マイナンバー」を取り扱う区域の管理や、機器及び紙・電子媒体等の盗難等の防止、電子媒体等を持ち出す場合の漏えい等の防止、「マイナンバー」の廃棄・削除、機器及び電子媒体等の廃棄など、特定個人情報等の適正な取扱いのための物理的な安全管理措置です。例えば「マイナンバー」を扱う場所を特定の部屋や区域に限定することや、保管にはカギがかかるロッカーを使うこと、「マイナンバー」が記載、記録されている紙や電子媒体の保管・廃棄の方法など物理的な安全措置を行うことをいいます。

技術的安全管理措置

 「マイナンバー」が記録されているデータへのアクセス制御、アクセス者の識別と認証、外部からの不正アクセス等の防止、情報漏えい等の防止など、特定個人情報等の適正な取扱いのための技術的な安全管理措置です。「マイナンバー」を記録・管理するパソコンなどへパスワードを設定し担当者しか使用できないようにする、ファイアーウォールを設置して外部からの不正アクセスを防止する、「特定個人情報ファイル」等を暗号化し、万が一の漏えい時にも第三者が情報を確認できないようにする、などが考えられます。
 安全管理措置は企業の義務とされていますが、担当者の設置や教育、業務をおこなう場所や業務内容の見直しなどの人的な負担増、財政的負担増、機器設置などのコスト増が予想されます。それぞれの会社に応じた対応を考えましょう。
 

法人にも 「マイナンバー」 ?


 マイナンバー制度では個人ひとりひとりに「マイナンバー」がつけられますが、法人にも「マイナンバー」=「法人番号」が付与されます。「法人番号」は13桁で、来年1月以降、税金、社会保険関係の書類に記載する必要があります。
 「法人番号」には「個人番号」とはちがう二つの特徴があります。ひとつは「個人番号」が個人情報であり税金、社会保障などの特定の業務に使用される以外は原則非公開で、その運用も厳しく制限されることに対し、「法人番号」は原則公開であり、「商号」「名称」「所在地」等の情報とともに、国税庁の法人番号公表サイトで公表されます。
 もうひとつは「個人番号」のような使用範囲の規定がなく、公的なものだけでなく民間での利用も想定されていることです。
 「法人番号」の通知は「個人番号」と同様に今年の10月から開始されます。通知先は法人の登記に記載された住所におこなわれます。「法人番号」を記載する手続きは当面は税金関係の申告書や届出書、法定調書、社会保障関係の雇用保険、健康保険、年金関係の届出書、自治体に提出する申告書や届出書などになります。

 
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