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2016/06/30

爆買いから地域振興を考える

Tweet ThisSend to Facebook | by kawahara
中小企業にとって効果は期待できるのか
爆買いから地域振興を考える

 中国、韓国、台湾などから来日する外国人観光 客の「爆買い」「爆買い減速」に関する報道がよく されています。大阪市内にある大手百貨店の外国 人用免税コーナーで働く中国人の李さんは、最近 の動向を次のように話しています。

変化してきた爆買い

 ここ2 、3年は爆買いそのものでした。日本製品 を求めて電気炊飯器、掃除機、カメラ、化粧品、薬、 子供用品などを100万円、200万円と大量に買い、 中国へ持ち帰っていました。日本製品は、品質と 耐久性に優れ、中国製品の安くて壊れるのと違い 日本ブランドへの信頼があります。例えば、化粧 品で、資生堂やファンケルといえば、中国で絶大 な人気商品です。売り場にいると、外国人によっ て買う目的が違うように思います。例えば韓国人 は、韓国にある自分の店で売るために仕入れる人 や、小売店へ卸す商売をするための人が多いよう に見受けます。他方、中国人は①自分で使う、② 知り合いへの贈り物、③商売として個人へ売ると いう3つに区分されます。
 これまで、爆買いとなった背景に円安があり、 中国人にとって滞在ビザが簡単に降りるようにな り来日しやすくなったことがあります。さらに、富 裕層だけでなく、国民全体の賃金が上がり、海外 旅行ができるようになったためです。ただ、円高 になってきていることや、先日、中国で化粧品の 関税が30 % から60 % へ高くなり、日本へ買い物 に来る社会背景が変化しています。買う商品も日 用品の小物が増えています。そのため、中国人の 爆買いが長く続くことはないと思います。

経済効果波及へ必要な地域の観光戦略

 観光庁によると2015年に日本を訪れた外国人数 は1973万人にのぼります。大阪府は716万人が大 阪を訪れたと発表しています。関西で一人あたり の外国人消費額が8万8千円との推計から、大阪で 概ね6千3百億円が消費されたことになります。消 費の内訳は買い物、宿泊、飲食、娯楽、交通費です。 中小企業、とりわけサービス業や地場産業にとっ て、外国人観光客は大きな販売市場といえます。 例えば、黒門市場で平日も2万人以上が訪れ食道楽 を楽しんでいると、同商店街振興組合は発表して います。
 外国人観光客により大きな販売市場が作られま したが、観光市場が今後も続いていくのに、大阪 に必要なことの一つを次ぎのように考えました。 市内24区ごとの特色を活かした大阪ブランド品の 開発と生産、商店街や小売販売店と連携した地元 品の販売も必要と思われます。例えば、生野区は 市内で一番製造業が多く集まっている所です。多 くが20人未満の小規模事業所です。また、空き家 率も市内で一番高くなっていることから、古民家 を改造した工房や製造現場の観光見学の設置など が考えられます。つまり、地域にある資源と観光 とを結びつけた地域からの取り組みが必要です。 爆買いが終わった後も引き続き観光客を引き寄せ るには、地域の人たちがものづくりやサービス業 を合わせた観光産業づくりこそ、大阪の地域振興 へつながるのではないでしょうか。

(2016年6月)


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